ネットワーク機器の多重化:コストと復旧速度のバランス設計・予備確保の考え方

本エントリは、バックアップおける基本の1ステップであり、主にSOHO環境でのネットワーク堅牢化についてのものです。小規模環境において完璧な多重化はコストが見合いません。本稿では現実的な落とし所を整理します。

ネットワーク多重化の現実とBCPの考え方

ネットワーク関連の障害が起こると、ほぼすべての業務がとまる。
かといって小規模環境で大企業のような完全な二重化はコストパフォーマンスが見合わない。
それゆえ、リスク・予算・許容停止時間を天秤にかけて、できる範囲で最大限に備えていく。

多重化のLv – 対策のグレード

予算と許容できる停止時間に応じて、以下の5つのレベルを使い分けるというのが基本的な考え方になる。

  1. 多重化: 片方の故障でも全く問題なく業務継続可能。
  2. ホットスタンバイ: 通電状態で予備機が稼働。即座に切り替え可能。
  3. コールドスタンバイ: 電源オフで設定済み予備機を保管。手動での起動・接続が必要。
  4. 代替機の確保: 未設定または同等品をストック。配置・設定・起動が必要。
  5. 代替手順の明確化: 物は持たず、手配ルートや代替手段の手順のみを決めておく。

保守や永久保証は有効か?

予備機翌日配送や先出しセンドバック(先に代替機を送ってもらえる)などの保守サービスに入っている機器を使っていても、現実には近所の家電量販店に直接走ったほうが圧倒的に早かったなどはよくある。
小売店で入手できる機器で間に合わせられる小規模環境では、保守サービスに月額を払ったり保証込みの製品を購入するよりも、「自分で在庫(予備機)を持つ」ほうが初動を早めて停止時間を最小限に抑えられるケースが多くある。

低コストで効果を最大化には

継続的なコスト増を避けつつ、安全性を高める具体的な運用方法には、たとえば下記のようなものがある。

  • 型落ち機の再雇用: リプレースで余った旧型機は、セキュリティ的に許容できるなら最も低コストなコールドスタンバイ機になる。
  • 常用デバイスの有事転用:たとえば 外出用のモバイルWi-Fiルーターなどを、社内ネット障害時の緊急用ゲートウェイとして定義しておく。普段からメリットを生んでいるものが緊急時も役立てられると追加コストが実質的にゼロで備えている状態に近くできる。
  • 整理された予備パーツ: LANケーブルやACアダプタの不良は原因特定に時間がかかりるもの。これらは常に新品の予備を整理して(重要)保管しておくとよい。

当方環境での二重化方針

ネットワークの上流(外側)から順に、故障時の影響範囲と対策のグレードを整理した一覧は下記のようになる。

階層機器・コンポーネント対策の内容(具体的な備え)対策のグレード
最上流インターネット回線モバイルルーター/テザリングによる代替代替手順の明確化
境界電源タップ雷サージ+サージガジェットの二重化多重化(保護)
境界電源(UPS)瞬電・停電対策として導入多重化(電源)
境界BBルーター同一設定済みの予備機を常備コールドスタンバイ
基幹スイッチングハブ無期限故障対応製品の採用代替機確保
基幹設定ファイル(Config)各機器の設定をUSB/クラウドに別途保管代替機確保(データ)
配信Wi-Fiアクセスポイント同等スペックの予備機を確保代替機確保
サービスファイルサーバ(NAS)2台のNASによる常時同期(筐体の冗長化)多重化
サービス業務サーバー(Mac mini等)旧型機(型落ち)を代用機として設定済コールドスタンバイ
インフラLANケーブル/各種配線規格ごとに新品を整理・ストック代替機確保

まとめ:予算をかけない手順の重要性

SOHO環境においては、完璧な二重化ができなくても、実務的に問題ないレベルでの冗長化は十分に行うことができる。たとえ予算がゼロでも代替製品の手配手順のドキュメント化なら今すぐ行えるので損はない。

たとえば、

  • 近隣店舗のリストアップ・どの型番が代替になるかの調査。
  • 切り替え時にどの設定を書き換える必要があるか。 これらが記されているだけで、復旧までの時間は劇的に短縮される。

以上が、ネットワーク機器の多重化への考え方についての記録となる。

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