RPOとバックアップスケジュールの関係
RPOとは何か:データの巻き戻し許容範囲
- RPO(Recovery Point Objective)は、障害発生時に「どの時点までデータを戻せれば許容できるか」という目標地点を指す。
- 例えば、RPOを「1日前」に設定している場合、今日データが消えたときに昨日の状態に戻せれば成功だが、今日1日分の作業内容は失われることになる。
- つまり、RPOは「最大でどれくらいの時間の作業をやり直す覚悟があるか」という指標である。
RPOがバックアップスケジュールを決定する
- RPOを「数分・数秒」にする場合: 常にデータを書き込み続けるリアルタイム同期が必要だ。クラウドストレージへの自動保存や、NASのミラーリング(RAID1)などがこれに該当する。
- RPOを「1日」にする場合: 毎日決まった時間(深夜など)に1回バックアップを実行すればよい。
- RPOを「1週間」にする場合: 週に一度のフルバックアップで事足りるが、消えたときに最大1週間分の作業を自力で再現しなければならない。
業務内容に応じた現実的なRPOの設定
- 会計データ・顧客管理: RPOは「1日以内」が望ましい。1日の終わりにバックアップを取ることで、翌朝には最新の状態から再開できる。
- 執筆・デザイン・プログラミング: 作業中のデータはRPO「数分」が理想だ。数時間の作業が消えるダメージは大きいため、作業ファイルをクラウドフォルダ上に置き、変更のたびに同期させる運用が適している。
- システム設定・OSの状態: RPOは「1週間〜1ヶ月」でも大きな問題になりにくい。設定を頻繁に変えないのであれば、大きな変更があった際のみバックアップ(スナップショット)を取れば十分だ。
バックアップスケジュールを組む際の3つの手法
- フルバックアップ: すべてのデータを丸ごとコピーする。復旧は早いが、時間と容量を大量に消費する。
- 差分バックアップ: 前回の「フルバックアップ」から変更された分だけを保存する。
- 増分バックアップ: 「前回のバックアップ」から変更された分だけを積み上げていく。容量を節約できるため、頻繁なバックアップ(短いRPO)に向いている。
負荷と安全性のバランス:3-2-1ルールの適用
- 短期RPO(日次・リアルタイム): 利便性を優先し、クラウドストレージやローカルのNASへ自動で保存する。
- 長期RPO(週次・月次): 安全性を優先し、外付けHDDやオフサイト(遠隔地)のストレージへ保存する。
- スケジュールを分けることで、PCの動作を重くすることなく、多層的な保護が可能になる。
運用上の注意点
- バックアップの「時間帯」: 大容量の通信が発生するため、PCを使用しない深夜や休憩時間にスケジュールを組むのが鉄則だ。
- 失敗時の通知: スケジュールを組んで満足せず、バックアップが失敗したときにメールや通知が届く設定を必ず確認しておく。
- リカバリテストの実施: RPOを1日に設定していても、いざという時に戻せなければ意味がない。半年に一度は「昨日のデータ」が正しく取り出せるか試してみるべきだ。