カントリーリスク への考え方

カントリーリスクとは何か

  • 特定の国や地域の政治、経済、社会情勢の変化によって、その国に依存するサービスや資産が損害を受けるリスクを指す。
  • ITの文脈では、利用しているサービスの運営会社が拠点を置く国や、データセンターが存在する国の「法規制」「政情不安」「サイバー攻撃の傾向」が大きな影響を与える。
  • 「今まで安全だったから」という経験則が通用せず、ある日突然、国家間の対立や法改正によってデータが閲覧不能になったり、流出したりする可能性を考慮しなければならない。
  • 特定の国にリソース(サーバー、開発、バックアップ)を集中させることの危うさを理解し、分散・回避の戦略を持つことが重要である。

クラウドサービス・ソフトウェアの選定とリスク

  • 利用しているオンラインストレージやメールサービスが、どの国の法律(捜査権限やデータ開示義務)に従っているかを把握する。
  • 特定の国の政府が企業に対し、バックドアの設置やデータの提供を強制できる法律(国家情報法など)が存在する場合、その国のサービス利用には慎重な判断が求められる。
  • 紛争や経済制裁が発生した際、その国のサービスが突然日本から遮断されたり、支払いができなくなりアカウントが停止したりするシナリオを想定しておく。
  • セキュリティソフトやVPNサービスなど、通信の根幹を支えるツールについては、信頼できる中立的な国や同盟国の製品を選ぶことが推奨される。

データの所在(データレジデンシー)の把握

  • 「クラウド上にある」という言葉で片付けず、物理的なデータセンターがどの国にあるのかを規約や設定画面で確認する。
  • 日本国内の法律で守られたい場合は、データセンターの場所を「日本国内」に指定できるプランやサービスを選択する。
  • バックアップの保存先についても、メインサーバーと同じ国に置くのではなく、地理的・政治的に離れた「遠隔地(他国)」に分散させることで、広域災害や紛争時の全消失を防ぐ。
  • データの暗号化を自分自身で管理(クライアントサイド暗号化)し、たとえ物理サーバーが他国で押収されても、中身が解読されないための技術的防衛を施す。

IT資産の調達とハードウェアリスク

  • PCやサーバー、ネットワーク機器(ルーター、Webカメラ等)の製造元が、過去にセキュリティ上の懸念を指摘されていないか、特定の国によって輸出入制限を受けていないかを確認する。
  • ハードウェアのファームウェアレベルで不正な通信が行われる「サプライチェーン攻撃」のリスクを考慮し、出所の不明な安価な周辺機器の導入を避ける。
  • 重要インフラや機密情報を扱う場合は、信頼できる供給網(クリーン・サプライチェーン)を持つベンダーを優先的に選定する。

継続的なモニタリングと脱出戦略(イグジットプラン)

  • 外務省の渡航情報や、サイバーセキュリティ機関(JPCERT/CC等)が発信する国際的な脅威情報を定期的にチェックする。
  • 特定の国のリスクが高まったと判断した際、数日以内に他国のサービスやローカル環境へデータを移行できる「脱出手順」をあらかじめシミュレーションしておく。
  • 単一の国のプラットフォームに依存しすぎず、複数の国のサービスを組み合わせることで、一国に依存するリスクを分散させる。