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エアギャップバックアップとは
エアギャップバックアップとは、バックアップデータをネットワークやシステムから切り離し、攻撃や一部の物理障害の影響を受けにくくする考え方である。
つまりエアギャップはフルバックアップや差分・増分バックアップのようなバックアップ方式の用語ではなく、バックアップデータの保管・運用方法に関する考え方と言える。
特にランサムウェアや不正アクセスでは、元データだけでなくバックアップまで同時に暗号化・削除されることがあるため、この概念が重要になってくる。
オフラインバックアップとの違い
オフラインバックアップは「現在ネットワークから切り離されている状態」を表す言葉である。
一方、エアギャップは、攻撃経路からバックアップを隔離するという考え方であり、バックアップの保管・運用方法を示す概念である。
物理的に切り離したバックアップは、多くの場合オフラインバックアップでもある。
エアギャップの種類とメリット・デメリット
論理的エアギャップ
ソフトウェアやネットワーク設定によって、システムや利用者からバックアップデータへアクセスできない状態を構成する方法。
例えば、バックアップ時だけ接続する仕組みや、アクセス権限によって通常は変更できない状態にする方法などがある。
物理的に切り離さないため自動化しやすい一方、ソフトウェアや設定に依存する。
- メリット:スケジュール化し定期的に実行しやすい
- デメリット:専用の仕組みが必要・ソフトウェアや設定に依存する・雷サージ(落雷により瞬間的に大電力が流れ込むこと。機器破損に繋がりやすい)には弱い
物理的エアギャップ
バックアップ媒体を物理的に取り外し、完全または一部切り離す方法である。
例えば、USB HDDを取り外す、LANケーブルを外す、電源ケーブルを外すなどがある。
最も安全性が高いのは、電源・LANなどすべての接続を切り離した状態である。
- メリット:簡単に実現できる(手動でケーブルを取り外すだけ)・雷サージにも強い
- デメリット:毎回手間がかかる
物理的エアギャップの強度の違い
物理的に切り離す方法にも段階がある。
例えば、
- LANケーブルだけ外す
- 電源だけ切る
- 電源ケーブル・LANケーブルの両方を外す
では、防げる脅威が異なる。
LANケーブルだけを外せばネットワーク経由の侵入には強くなるが、電源経由の雷サージなどは受ける可能性がある。
一方、電源ケーブルも取り外せば、通電による障害や雷サージの影響も受けにくくなる。
エアギャップで防ぎやすくなること
- バックアップデータの暗号化
- バックアップデータの削除
- 不正アクセス後のバックアップデータの改竄
- 雷サージなど一部の物理障害(物理的エアギャップ)
エアギャップで防げないこと
- バックアップ取得前に失われたデータ
- バックアップ媒体の故障
- 火災・水害など保管場所全体の災害
- 人為的な紛失・盗難
- バックアップ運用そのものの失敗
特に注意すべき点 – ランサムウェアの挙動
論理的・物理的に切り離しているからランサムウェアに対して絶対に安全とは言えない。次回バックアップ時など接続が再開されたタイミングで、接続元のPCがすでにランサムウェアに感染していれば、バックアップデータも暗号化の標的とされる。
現代のランサムウェアは、同じネットワーク内に混在している端末だけでなく、OSから認識できる媒体に対し暗号化を開始する機能を備えているものが多い。そのため、デバイスやネットワークが汚染された状態でバックアップ媒体を接続すれば、隔離していた意味がなくなる。
つまり、
- エアギャップによる防御効果は、バックアップ媒体を切り離している間はランサムウェアから直接アクセスされないという点
さらに、
- その隔離期間中にPCの異常へ気付き、バックアップ媒体を接続しないという判断ができれば、その時点のバックアップは守られる可能性があるという点
この二点がエアギャップバックアップの本質である。
まとめ
- エアギャップはバックアップデータを隔離する考え方である
- ランサムウェアなどからバックアップ自体を守るために利用される
- 物理的エアギャップと論理的エアギャップがある
- 物理的エアギャップにも切り離し方による強度の違いがある
- 隔離中は安全度が高いが、再接続するとバックアップ媒体も通常のストレージとしてアクセス可能となり、接続中は攻撃対象になり得る。
- バックアップ方式ではなく、保管・運用方法の一つである
エアギャップは「接続を切り離して守る」考え方である。
一方、接続したまま変更を禁止して守る方式としてイミュータブルバックアップという考え方もある。両者は競合するものではなく、組み合わせて利用されることも多い。
