オンラインストレージへのバックアップ|クラウドへバックアップデータを保管する

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オンラインストレージへのバックアップとは、インターネット経由で遠隔地へバックアップデータを保管し、火災・地震・水害・盗難など、拠点そのものが被災する障害へ備えるバックアップ方式である。

ローカルストレージやNASだけでは、建物ごと被災した場合にバックアップも同時に失われる恐れがある。オンラインストレージへ複製を保存することで、物理的に離れた場所へデータを退避できる。

また、スマートフォンやノートPCなどのモバイル端末では、紛失や落下、水没などによって端末そのものを失うリスクが据え置き機器より高い。そのため、重要なデータをオンラインストレージへ保管する意義は大きい。

さらに、イミュータブル機能やオブジェクトロックに対応したサービスを利用すれば、ランサムウェアや内部不正による改竄・削除への耐性も向上する。

一方で、オンラインストレージは万能ではない。サービス障害やアカウント停止、設定ミスなどへの備えも考慮し、ローカルバックアップと組み合わせて運用することが重要である。

オンラインストレージを利用するメリット・デメリット

メリット

オンラインストレージには次のような利点がある。

  • 広域災害時でもバックアップが残りやすい
  • モバイル端末の紛失・故障にも備えられる
  • 別拠点(企業の別支店など)を用意しなくても遠隔保管を実現できる
  • イミュータブル対応サービスでは改竄耐性も確保できる

デメリット

一方で、次のような注意点もある。

  • 初回バックアップは非常に時間が掛かる場合がある
  • 月額料金など継続的なコストが発生する
  • サービス障害やアカウント停止の影響を受ける可能性がある
  • 同期のみではランサムウェア対策にならない

オンラインストレージを選ぶポイント

オンラインストレージはサービス名ではなく、自社のバックアップ方針を実現できる機能を備えているかを基準に選択したい。

確認項目確認する内容主な用途
容量必要なバックアップ容量を十分確保できるか長期運用での容量不足防止
料金体系容量課金・定額制など予算の超過防止
バージョン管理過去の状態へ復元できるか誤削除やファイル破損時の対策
イミュータブル対応改竄・削除を防止できるかランサムウェア対策
バックアップソフト対応バックアップソフトから直接利用できるか自動化
API提供他システムと連携できるか自動運用
転送制限API制限や帯域制限があるか大容量運用
データ保存場所国内・海外リージョンなど法令・業務要件
復元方法必要なデータだけ復元できるか障害発生時の迅速な復旧

どのサービスが優れているかではなく、自社の運用に必要な機能を満たしているかを優先して判断する

参考:イミュータブルバックアップとは

バックアップ方式を決める

オンラインストレージへのバックアップには複数の方法がある。それぞれ特徴が異なるため、目的に応じて選択する。

同期

ローカルで変更した内容をオンラインストレージへ自動的に反映する方式。
運用負荷が少なく、変更されたデータのみを転送するため通信量も抑えられる。一方で、誤削除やランサムウェアによる暗号化も同期されるため、それだけでは世代管理を伴うバックアップの代替にはならない。

定期バックアップ

毎日・毎週など決められたタイミングでバックアップを取得する方式。

世代管理がしやすく、誤削除やデータ破損時にも過去の状態へ戻しやすい。

手動バックアップ

必要なタイミングだけ利用者がバックアップを実施するやり方。
更新頻度が少ないデータでは有効だが、実施漏れが発生しやすい。

自動バックアップ

バックアップソフトなどを利用し、自動的にオンラインストレージへ保存する方式。
運用負荷が小さく、継続しやすい反面、設定や監視を適切に行う必要がある。

運用時の注意点

初回バックアップは想像以上に時間が掛かる

オンラインストレージでは、容量だけでなくファイル数も転送時間へ大きく影響する。

特に小さなファイルが大量に存在する場合は、通信速度よりもサービス側のAPI制限や処理時間がボトルネックになることが多い。

実際に約2TB・50万ファイルをオンラインストレージへバックアップした際には、初回アップロードだけで数週間を要す見込みとなり、実用的とは言えず中断した。
OneDrive、Mega、Boxなどいくつかのサービスで試したが大きな差異は無く、途中でアップロードが停止することもしばしば。

オンラインストレージへのバックアップでは、総容量や回線速度だけでなくファイル数も運用性へ大きく影響する。

差分同期は現実的な運用方法である

初回バックアップ完了後は、変更されたファイルだけを同期する運用であれば、通信量や更新時間を大きく削減できる。ランサムウェア対策としては不十分だが、広域災害対策としてのみ利用するのであれば現実的な選択肢となる。

NASと組み合わせると運用しやすい

SOHOでは、各端末から直接オンラインストレージへバックアップするよりも、一度NASへバックアップを集約し、そのNASからオンラインストレージへ複製する構成が管理しやすい。

この構成であれば、ローカルでの高速な復旧と、広域災害対策を両立しやすくなる。

復元まで考慮してバックアップする

オンラインストレージへ保存するだけでなく、災害発生後にどのような手順で復元するかも事前に確認しておきたい。

まずは少量のデータで実際に復元を試し、必要なデータだけを取り戻せることを確認しておく。

また、大容量・多ファイル環境ではアップロードと同様、ダウンロードにも相当な時間を要する可能性がある。そのため、重要なデータを優先して復元できるよう、バックアップデータの構成もあらかじめ設計しておくことが望ましい。

一つの巨大な圧縮ファイルや暗号化コンテナだけで管理すると、一部だけ復元したい場合でも全体をダウンロード・展開する必要が生じる場合がある。採用する場合は、復元単位も考慮し、重要度ごとに分割して保管すると復旧しやすい。

小規模環境ではどう考えるか

個人

写真や重要書類など、失われると再取得できないデータだけでも遠隔保管する価値がある。

ホームネットワーク

NASを利用している場合は、オンラインストレージへの複製を追加することで、広域災害への耐性を高められる。

SOHO

各端末をNASへバックアップし、そのNASからオンラインストレージへバックアップする構成が、運用性と安全性のバランスを取りやすい。

まとめ

  • オンラインストレージは、広域災害対策として遠隔地へバックアップを保管する方式である。
  • モバイル端末の紛失・故障対策としても有効である。
  • 同期とバックアップは目的が異なるため混同しない。
  • 初回バックアップは容量だけでなくファイル数やAPI制限の影響も受ける。
  • ローカルバックアップと組み合わせることで、障害の種類に応じた多層的なバックアップ環境を構築できる。