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権限昇格とは、利用者やプログラムが、本来許可されていない権限を取得することである。
アカウントは「誰がシステムを利用するか」を識別するための単位であり、権限は「その利用者に何が許可されているか」を定めるものである。同じシステムのアカウントでも、与えられた権限によって操作できる範囲は異なる。
攻撃者が端末やシステムへ侵入しても、最初から管理者権限を持っているとは限らない。限られた権限で侵入した後、脆弱性や設定不備、窃取した認証情報などを利用して、本来許可されていない権限の取得を試みる。
権限昇格の例
例えば、営業担当者のアカウントが漏洩し、攻撃者がそのアカウントで社内システムへ不正アクセスしたとする。
営業担当者のアカウントに顧客情報の閲覧や営業案件の更新だけが許可されていれば、攻撃者が操作できる範囲も原則としてその権限に限られる。
しかし、攻撃者が脆弱性や設定不備、別の認証情報などを利用し、営業部長やシステム管理者など、より大きな権限を持つアカウントを利用できるようになれば、アクセスできる情報や機能が広がる。
また、営業担当者のアカウント自体に管理者権限を追加するなど、現在のアカウントに本来持っていなかった権限を取得する場合もある。
このように、侵入時に持っていた権限を超えて、本来許可されていない操作を可能にすることが権限昇格である。
垂直方向の権限昇格
一般ユーザーから管理者など、より強い権限を取得することを垂直方向の権限昇格という。管理者権限の取得が代表的な例である。
例えば、一般ユーザーとして侵入した攻撃者が管理者権限を取得すれば、通常の利用者には許可されていないシステム設定の変更やソフトウェアの実行、セキュリティ機能への操作などが可能となる。
OSやアプリの脆弱性、過剰な権限設定、管理者の認証情報などが権限昇格に悪用される。
水平方向の権限昇格
権限の強さは変わらなくても、本来その利用者には許可されていない別の利用者の情報や機能へアクセスできるようになることを水平方向の権限昇格という。同じ権限レベルにある他の利用者の領域へアクセスする場合が代表的な例である。
例えば、ある営業担当者のアカウントから、別の営業担当者だけに許可された顧客情報を閲覧・変更できる状態が該当する。
管理者権限を取得していなくても、本来許可されていない範囲まで操作できるようになっている点では権限昇格となる。
権限昇格に利用される経路
権限昇格には一つの決まった方法があるわけではない。
OSやアプリの脆弱性、誤ったアクセス権の設定、必要以上に与えられた権限、管理者アカウントの認証情報などが悪用される。
そのため、権限昇格への対策は単独の機能で完結しない。OSやアプリの更新、適切な権限設定、管理者アカウントの保護などによって、権限を取得される経路を減らしていく。
ランサムウェア攻撃における権限昇格
ランサムウェア攻撃では、端末やシステムへの侵入後、その権限では目的の操作ができない場合、攻撃者は権限昇格を試みる。高い権限を取得されると、セキュリティ機能への干渉やシステム設定の変更、他の端末やサーバへの侵害拡大など、後続の攻撃を行いやすくなる。
権限昇格を防ぐことは侵入そのものを防ぐ対策とは異なり、侵入された場合の被害拡大を抑える役割を持つ。
