オブジェクトストレージとは|データをオブジェクト単位で保存・管理する仕組み

当ページは検証・整備中のドラフトです。
内容は実環境での検証や追加調査により変更される予定です。
参照:ページ公開・更新ポリシー

オブジェクトストレージとは、データを「オブジェクト」という単位で保存・管理するストレージ方式である。データ本体と属性情報(メタデータ)をまとめて管理し、それぞれのオブジェクトをキーによって識別する。

主にクラウドサービスで利用され、大量の画像や動画、バックアップデータ、ログなどを保存する用途に適している。

一般的なファイルストレージのような階層型ファイルシステムとは異なり、オブジェクトをキーによって識別し、APIなどを通じて保存・取得する点が特徴である。

オブジェクトストレージの仕組み

オブジェクトストレージでは、保存するデータをオブジェクトとして管理する。

オブジェクトの管理には、主に次の要素が用いられる。

構成要素内容
データ本体画像、文書、動画、バックアップファイルなどの実データ
キーオブジェクトを識別するための名前や識別子
メタデータファイル形式、作成者、任意の属性情報など、データに付随する情報

多くのクラウド型オブジェクトストレージでは、オブジェクトを「バケット」と呼ばれる管理単位に格納する。

バケット内のオブジェクトはキーによって識別され、保存・取得・削除などの操作を行う。

例えば、images/2026/photo.jpg というキーを持つオブジェクトは、フォルダ階層のように見えるが、一般的なオブジェクトストレージではキーに含まれる文字列によって階層構造を表現している。

実際のディレクトリを持つファイルシステムとは異なり、キーの接頭辞を利用してフォルダに似た表示や管理を実現する仕組みである。

オブジェクトストレージの主な特徴

大量のデータを保存できる

オブジェクトストレージは、多数のファイルや大容量のデータを扱うことを想定した構造を持つ。

クラウド型サービスでは、利用者が物理ディスクやRAID構成を直接管理することなく、必要に応じて保存容量を増やせる。

ただし、オブジェクト単体の最大サイズや操作回数などには、サービスごとの制限がある。

メタデータを付与できる

オブジェクトには、データ本体とは別に属性情報を付与できる。

例えば、コンテンツの種類や管理上の分類などを記録し、データの識別や処理に利用することが可能である。

付与できるメタデータの種類や容量、検索機能はサービスによって異なる。

APIを通じてアクセスする

クラウド型オブジェクトストレージでは、HTTPベースのAPIを使ってデータを保存・取得する方式が一般的である。

アプリケーションやバックアップソフトウェアなどから直接アクセスできる一方、通常のファイルシステムと同じ操作方法がそのまま利用できるとは限らない。

オブジェクト単位で更新する

オブジェクトストレージでは、一般にオブジェクト全体を保存・取得する操作を基本とする。

既存のデータを変更する場合は、オブジェクトを新しい内容で置き換える方式が一般的であり、ファイルシステムのような細かな書き換えには向いていない。

ただし、部分取得や一部の更新機能など、利用可能な操作はサービスによって異なる。

ファイルストレージ・ブロックストレージとの違い

ストレージには、オブジェクトストレージのほかに、ファイルストレージとブロックストレージがある。

それぞれデータの管理単位とアクセス方法が異なる。

比較項目オブジェクトストレージファイルストレージブロックストレージ
管理単位オブジェクトファイル・ディレクトリデータブロック
データの識別キーファイルパスブロックアドレス
主なアクセス方法APISMB・NFSなどOSからのブロックデバイス操作
主な用途バックアップ、画像・動画、ログ共有フォルダ、文書管理OS、データベース、仮想マシン
データの更新オブジェクト単位が基本ファイル単位・部分更新ブロック単位

ファイルストレージ

ファイルストレージは、ファイルとディレクトリによる階層構造でデータを管理する方式である。

NASの共有フォルダや一般的なファイルサーバなどで使用され、複数の利用者がファイルを開いたり編集したりする用途に適している。

ブロックストレージ

ブロックストレージは、データを一定の単位に分割し、ブロックとして読み書きする方式である。

OSやファイルシステムから利用され、データベースや仮想マシンのディスクなど、細かな読み書きが必要な用途に適している。

オブジェクトストレージ

オブジェクトストレージは、データを個別のオブジェクトとして保存し、キーを指定して取得する方式である。

ファイルの共同編集やOSの起動ディスクには一般に適さないが、大量の独立したデータを保存・配信する用途に向いている。

オブジェクトストレージの主な用途

用途利用例
バックアップPC、サーバ、NASなどのバックアップデータの保存先
Webコンテンツ画像、動画、ダウンロードファイルなどの保存・配信
ログ・アーカイブシステムログや長期保管データの蓄積
データ分析大量のデータを集約するデータレイクの保存基盤
アプリケーションユーザーがアップロードしたファイルなどの保存先

オブジェクトストレージは、アプリケーションから直接利用される場合もあれば、バックアップソフトウェアなどを介して利用される場合もある。

データの耐久性と可用性

クラウド型オブジェクトストレージでは、保存データの消失を防ぐため、複数の機器や拠点にデータを冗長化する仕組みが用いられる。

ただし、データの耐久性とサービスの可用性は異なる概念である。

項目意味
耐久性(Durability)保存したデータが失われずに保持される性質
可用性(Availability)必要なときにデータへアクセスできる性質

例えば、サービスに一時的な障害が発生してデータを取得できなくても、保存データ自体は失われていない場合がある。

また、高い耐久性を持つサービスであっても、利用者による誤削除や不正な書き換えを自動的に防げるとは限らない。

オブジェクトのバージョン管理や削除保護などの機能は、サービスや設定によって利用可能な範囲が異なる。

ストレージクラスと保存コスト

クラウド型オブジェクトストレージには、アクセス頻度や保存期間に応じて複数のストレージクラスが用意されている場合がある。

種類主な特徴
標準ストレージ頻繁にアクセスするデータ向け
低頻度アクセス向けストレージ参照頻度が低いデータ向け。取り出し料金や最低保存期間が設定される場合がある
アーカイブ向けストレージ長期保存向け。取り出しに時間や追加費用が必要な場合があり、最低保存期間が設定されることもある

料金は保存容量だけでなく、APIリクエスト数、データ転送量、取り出し量などによって変動することがある。また、最低保存期間が設定されたクラスでは、期間満了前にデータを削除すると追加料金が発生する場合がある。

そのため、保存容量が同じでも、データの利用方法によって費用は異なる。

オブジェクトストレージとクラウドストレージの関係

「クラウドストレージ」は、インターネット経由で利用するストレージサービスを広く指す言葉である。

一方、オブジェクトストレージはデータの保存・管理方式を表す。

例えば、一般利用者向けのクラウドストレージサービスでは、ファイルやフォルダを操作する画面が提供されるが、その内部でどのストレージ方式が使われているかは利用者から見えない場合がある。

また、クラウド上にはオブジェクトストレージだけでなく、ファイルストレージやブロックストレージも存在する。

したがって、クラウドストレージとオブジェクトストレージは同義ではなく、サービスの提供方法とデータの管理方式という異なる観点の用語である。