バックアップ方針の策定|保護対象に応じた保存方法を決定する

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「とりあえずすべてバックアップ」していると、データ量の少ないうちは良くても、2TB・5TBと増えていくにつれてストレージ容量やコストが無駄になり、業務時間外にバックアップが終わらなくなることもある。

一方、バックアップは取得するだけでは十分ではない。障害が発生した際に、必要なデータを必要な時間内に復旧できなければ意味がない。

保護対象や復旧要求に応じてバックアップ・復旧方針を決めることで、最小のコストで必要十分な備えを構築できる。

ここでは、小規模環境でバックアップ・復旧方針を決める際に整理したい項目を確認する。

保護対象を決める

最初に何を守るのかを整理する。

例えば

  • 顧客情報
  • 写真・動画などのメディア
  • 過去・現在の会計データ
  • 送受信したメール
  • 作成したドキュメント
  • システム設定

重要度が異なれば、バックアップ方法や復旧方法も変わる。

保護対象ごとに方針を変える

すべてのデータへ同じバックアップ方針を適用する必要はない。

例えば、

  • 業務データは毎日バックアップする
  • 写真は毎週バックアップする
  • システム設定は更新時のみバックアップする

といったように、重要度や更新頻度に応じて方針を分ける。

この考え方が、以降のバックアップ頻度・世代・保存先・復旧方法を決める基準となる。

失ってよい期間を決める

どれだけの更新データを失ってもよいかを決める。

これはバックアップ頻度へ影響する。

  • リアルタイム
  • 毎時間
  • 毎日
  • 毎週
  • 毎月

更新頻度が高いデータほど、バックアップ頻度も高くすることで障害時に失われるデータを最小化できる。

データ推奨
会計データ毎日
写真毎週
システム設定更新時
契約書更新時

どこまで遡って復旧できるようにするか決める

何世代のバックアップを保持するか決める。

例えば

  • 最新のみ
  • 7日分
  • 30日分
  • 12か月分

などが一般的である。

世代を残さず常に最新しか保存していない場合、

  • 誤削除
  • ランサムウェア
  • データ破損

もそのままバックアップへ反映され、「復旧しても意味がない状態」になる恐れがある。

なお、

  • バックアップ頻度
  • 世代数

を組み合わせることで、「いつまで遡って復旧できるか」が決まる。

いつまでに復旧する必要があるか決める

バックアップは取得できても、必要な時間内に復旧できなければ意味がない。

保護対象ごとに、

  • 数時間以内
  • 当日中
  • 2日以内
  • 1週間以内

など、業務や生活へ支障が出ない復旧時間を整理する。

例えば、

  • 会計データは翌営業日まで
  • NAS上の共有データは数時間以内
  • 写真は数日以内でもよい

など、保護対象によって必要な復旧時間は異なる。

復旧時間を考慮して保存先を決める

保存先は容量やコストだけでなく、必要な復旧時間を満たせるかも考えて決める。

例えば、

  • 外付けHDD
  • NAS
  • クラウドストレージ
  • 別拠点
  • オフライン保管(平時は取り外して保管する外付けHDDなど)

が考えられる。

例えば、

  • 数時間以内に復旧したいデータをダウンロードに数日掛かるクラウドだけへ保存する(容量とプランにもよる)
  • 即時必要になるデータを貸金庫内のエアギャップ媒体だけへ保存する

といった設計では、バックアップは存在していても復旧時間の要件を満たせない。

保存先の選定は復旧時間も考慮する必要がある。

データごとに復旧手順を記録しておく

復旧時に迷わないよう、保護対象ごとに復旧方法を記録しておく。

例えば、

  • どの障害を想定するか
  • どの保存先から復旧するか
  • どの世代を利用するか
  • 何を優先して復旧するか

などを整理しておく。

細かな操作手順までは不要だが、「どこから・何を・どの順番で戻すか」は決めておきたい。

定期的に復旧テストを行う

バックアップは取得できていても、実際に復旧できるとは限らない。

そのため、

  • バックアップデータを開けるか
  • 必要なファイルを取り出せるか
  • 想定した手順で復旧できるか

を定期的に確認する。

特にクラウドストレージや別拠点バックアップでは、このときに復旧時間が設計どおりかも確認しておきたい。

まとめ

  • 最初に保護対象を整理する
  • 保護対象ごとに方針を変える
  • 失ってよい期間を決める
  • どこまで遡って復旧できるようにするか決める
  • いつまでに復旧する必要があるか決める
  • 復旧時間を考慮して保存先を決める
  • データごとに復旧手順を記録しておく
  • 定期的に復旧テストを行う