サーバーラックとは|サーバーやネットワーク機器を規格化された枠組みに収納する設備

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サーバーラックとは、サーバーやネットワーク機器などをまとめて設置・収納するための設備である。機器の取り付け位置や寸法に共通規格を用いることで、異なるメーカーの機器を効率的に収容できる。

データセンターや企業のサーバールームだけでなく、小規模オフィスやホームネットワークでも使用される。機器の整理に加え、配線、冷却、保守、物理的な保護を行いやすくする役割を持つ。

サーバーラックの構造

サーバーラックは、機器を固定するための支柱やフレームを基本構造とする。用途によって、扉、側板、棚板、キャスターなどが組み合わされる。

構成要素役割
マウントレールサーバーやネットワーク機器を固定する支柱
フレームラック全体を支える骨組み
棚板(シェルフ)ラックマウントに対応していない機器を載せる
前面・背面扉機器へのアクセス制御や物理的な保護
側板側面からの接触防止や気流の管理
キャスター・アジャスターラックの移動や設置位置の固定

すべてのラックにこれらの部品が備わるわけではない。開放型のラックでは、扉や側板を持たない構造も一般的である。

19インチラックとEIA規格

サーバーラックで広く使用されるのが、19インチラックと呼ばれる規格である。

19インチ(約482.6mm)は、ラックマウント機器の前面パネルなどに用いられる規格上の幅を示す。ラックの取り付けレール間の開口幅はこれより狭く、約450mmである。

また、ラック本体の外形幅はフレームや配線スペースを含むため、600mm程度の製品も一般的である。

ラックの取り付け寸法には、EIA-310などの規格が用いられる。

ただし、19インチラックに対応していても、機器の奥行き、重量、取り付け金具などが適合するとは限らない。

U(ユニット)による高さの表記

サーバーラックでは、収納できる機器の高さを「U(ユニット)」という単位で表す。

1Uは1.75インチ、約44.45mmである。

高さ寸法の目安
1U約44.45mm
2U約88.9mm
3U約133.35mm
4U約177.8mm
6U約266.7mm
12U約533.4mm

例えば、12Uラックには理論上、1U機器を12台分取り付けられる高さがある。

ただし、棚板や配線部材などもスペースを使用する。機器の冷却条件によっては空間を確保する必要があり、表記されたU数をすべて機器に割り当てられるとは限らない。

なお、Uは取り付け可能な高さを示す単位であり、ラックの外形高さとは異なる。

サーバーラックの主な種類

サーバーラックは、設置方法や構造によっていくつかの種類に分けられる。

種類特徴主な用途
キャビネット型扉や側板を備えた箱型構造サーバールーム、オフィス
オープンラック型扉や側板を持たない開放構造通信設備、機器の検証環境
壁掛け型壁面に固定する小型ラック小規模ネットワーク設備
卓上・小型ラック机上や棚などに設置する小型構造SOHO、ホームネットワーク

キャビネット型

機器を囲う構造を持ち、扉に施錠機能を備えた製品もある。

不用意な接触を防ぎやすい一方、内部に熱がこもらないよう通気経路への配慮が必要となる。

オープンラック型

フレームとマウントレールを中心とした構造で、機器や配線にアクセスしやすい。

通気性や作業性に優れる反面、機器が露出するため、設置場所の管理が重要になる。

壁掛け型・小型ラック

限られた空間にネットワーク機器をまとめる用途で使用される。

スイッチやパッチパネルなどの収納に適しているが、重量のあるサーバーや大型UPSには対応できない製品も多い。

ラックに収納する主な機器

サーバーラックには、サーバー以外にもさまざまな機器を収容できる。

機器・部材役割
ラックマウントサーバー業務システムや各種サービスの実行
ネットワークスイッチLAN機器間の通信接続
ルーター・ファイアウォールネットワーク間の接続や通信制御
NASファイル共有やデータ保存
UPS停電時の一時的な電力供給
PDUラック内機器への電源分配
パッチパネルLANケーブルの接続・配線整理
ケーブルマネージャー配線の保持・整理

ラックマウントに対応していない機器でも、棚板を利用して収納できる場合がある。

ただし、機器の重量、放熱、ケーブルの接続スペースなどを考慮する必要がある。

ラックの寸法と機器の適合性

サーバーラックの寸法は、高さ・幅・奥行きによって表される。

19インチという共通規格があっても、ラックの外形寸法や内部の有効スペースは製品ごとに異なる。

項目確認する内容
高さ(U数)機器や部材を収容できる高さ
外形幅設置場所に必要な横幅
奥行き機器本体と配線スペースを含む必要寸法
マウントレール間隔機器や取り付け金具との適合性
耐荷重ラック全体や棚板が支えられる重量
取り付け方式ネジ穴、角穴、専用レールなどの違い

特にラックマウントサーバーは奥行きが長い製品もあり、ラックの外形奥行きだけでは収納可能か判断できない。

また、取り付け穴には、ネジを直接固定するネジ穴タイプと、ケージナットなどを使用する角穴タイプがある。使用するレールや固定金具は、それぞれの方式に適合する必要がある。

サーバーラックと冷却・配線

サーバーやネットワーク機器は動作時に発熱するため、ラック内の通気経路が重要となる。

多くのラックマウントサーバーは前面から吸気し、背面へ排気する構造を採用している。一方、ネットワーク機器などでは側面吸排気の製品も存在する。

扉や側板の構造、機器の配置、ケーブルの取り回しによっては、通気が妨げられる場合がある。

ラック内の空きスペースには、排気が吸気側へ回り込むのを抑えるブランキングパネルが使用される場合もある。

また、電源ケーブルと通信ケーブルを整理することで、接続先の把握や機器交換などの保守作業を行いやすくなる。

ラック内の温度だけでなく、設置場所全体の換気や室温も機器の動作環境に影響する。

物理的な保護と設置環境

サーバーラックは機器を整理する設備であると同時に、物理的なリスクを管理するための設備でもある。

ほこりや接触による機器の故障・劣化を抑えるほか、排熱経路の整理、機器の盗難や不正操作の抑止にも役立つ。また、ラックと収納機器を適切に固定することで、地震などによる転倒・落下のリスクも軽減できる。ただし、これらの効果はラックの構造や設置環境によって異なる。

主な考慮事項やリスクは次のとおりである。

項目主なリスク
転倒・落下地震、接触、重量配分の偏り
過熱通気不足、排熱の滞留、室温上昇
電源電源容量不足、配線の過負荷
不正な接触機器の操作、ケーブルの抜去、持ち出し
水・ほこり漏水、粉じんの侵入、機器の故障
騒音ファンやUPSなどの動作音

施錠できるラックでも、機器やデータへの不正アクセスを完全に防げるわけではない。

また、ラック自体が転倒しなくても、内部機器の固定が不十分であれば落下や損傷が発生する可能性がある。

SOHO・ホームネットワークでの位置づけ

小規模な環境では、必ずしも大型のサーバーラックが必要になるわけではない。

ルーター、スイッチ、NAS、UPSなどの機器が増えた場合、ラックを利用することで設置場所や配線を集約しやすくなる。

一方、ラックの導入には設置スペースや費用が必要であり、放熱や騒音の問題が新たに生じる場合もある。

サーバーラックは機器の性能を直接向上させるものではなく、機器の収納・配線・保守・物理的な保護を体系的に管理するための設備である。